お茶と宇治のまち歴史公園オープン
京阪宇治駅の隣接地に「お茶と宇治のまち歴史公園」がオープンしました!こちらには史跡公園だけでなく、公園内にお茶について学べ、様々な体験を受けることのできるミュージアムが併設されています。
施設の詳しい情報はこちらをご覧ください:https://uji-chazuna.kyoto/
残念ながらこの度の緊急事態宣言を受けて、ミュージアムは開館を延期する事となりましたが、史跡公園には自由に出入りすることができます。8月21日にこちらの史跡公園のオープニング記念式典が行われ、コロナ禍のため関係者のみの参列、一般参加なしに縮小して行われることとなりました。実はこのオープニング式典に昇苑くみひもが一部関わらせていただきました。
ニュースなどでご覧いただいたかもしれませんが、なんと今回施設のオープニングテープカットには組紐が使用されています! え!組紐を切っちゃうの!?と思われた方、ご安心ください。切るではなく、解くオープニングです。と言うのも茶道には「口切りの茶事」という、茶人の正月とも言われる茶事があります。これは壺の封を切って、その年初の茶を点て客人をもてなすという内容ですが、この時に壺にかかった紐を解いて、最後に再び結びをかけるという作法を行います。この茶事に見立てて、結びを解くという方法でテープカットを行うことを企画し、そんな前代未聞の企画に宇治市様が興味を持ってくださいました!結び目は組紐を組む時にも良く使う「はた結び」と言う結びをアレンジしたもので、片側の紐を引っ張ると簡単に解くことが出来るという仕組みです。組紐によるテープカットは、解いて結んでを繰り返し使えるというまさに持続可能なテープカット、オープニングセレモニーの新境地と言ってもいいのではないでしょうか!
そして宇治市長や来賓の皆様につけて頂く徽章(胸バラ)もプロデュースさせていただきました。この徽章は同じ地域内でちりめん細工をお作りになられている「株式会社夢み屋」様と、麻生地の染色を得意にされている「永野染色」様にご協力を仰ぎ作り上げることが出来ました。花のモチーフはバラではなく、施設のテーマでもある「お茶」の花をイメージしてデザインをし、お茶の花の雄しべ雌しべを「几帳結び」で表現しています。実は几帳結びはこちらの施設のロゴマークにもなっています。徽章についている紅白のタレは麻生地を染めたものですが、もちろんこの部分に麻を使用しているのも意味があります。茶道では茶碗などを拭く際に晒しの麻で作られた茶巾を用いますが、千利休も「何は無くとも真新しい白い茶巾」と言ったほど重要なアイテムです。そんな茶巾と同じ素材が白い生地には使われており、分かる人には分かるという演出をしかけました。
歴史公園内の史跡・庭園・広場
詳しくはこちらをご覧ください:https://uji-chazuna.kyoto/outdoors/
宇治でこんなに大規模な公共施設は今後10年作られることはないだろうと言われ、何かこの機会に協力して盛り上げることがしたい!お茶や宇治上神社・平等院以外に工芸も頑張っていると言う事を発信したい!と思い企画を持ち込みましたが、未知数の事に自分たちも終始不安だらけでした。しかし終わってみれば式典のあとの関係者の皆様の笑顔と、とてもよかった。。。の一言に、改めて意味のあるお仕事が出来たと実感いたしました。本来であればもっと多くの方に見ていただきたかったのですが、昨今の事情を踏まえると、無事に式典を終えられたことだけでもよかったと改めて思います。ミュージアムの開館は少し先になりましたが、とても面白そうなワークショップも目白押しで、今後公園内では様々なイベントも企画される予定です!大人も子供も楽しめる宇治の新しい名所に是非ご期待ください!